MARKET INTELLIGENCE REPORT

グッズの次に、
商品はどう日常へ入るのか

次に注目したいのは、キャラクターグッズが購入された後、どう守られ、持ち歩かれ、見せられ、入れ替えられるかである。

調査基準日 2026.08.21ブランド/バイヤー/商品企画/卸・小売事業者向け日本語版
1,940万人推し活人口の推計
4.1兆円市場規模の推計
48%18〜79歳調査の推し活実施率
59.2%基本的に一人で推し活

核となる見方

日本の推し活は、ライブやイベント、コレクションのためだけの行動ではなくなりつつある。通勤、旅行、買い物、カフェ、自宅で過ごす時間にも、推しに関わるものが持ち込まれるようになった。

キャラクターやメンバーカラーが商品に目を向けるきっかけであることは変わらない。一方、購入後にどう保管するか、外出時にどう持ち歩くか、場面に応じてどう見せるか、傷んだ部品を交換できるかといった点が、その商品を長く使うかどうかに影響し始めている。

次に注目したいのは、新しいキャラクターグッズだけではない。グッズを「守る」「持ち歩く」「見せる」「入れ替える」ための商品である。

缶バッジには保護カバーや位置を固定するシートが必要になる。トレーディングカードにはケース、ストラップ、ディスプレイスタンドが続く。ぬいぐるみには服、持ち歩き用ポーチ、撮影用の背景、手入れ用品が加わる。こうした商品は、キャラクター本体ほど目立たなくても、手持ちのグッズを外へ持ち出し、使用期間を延ばす役割を持つ。

ぬいぐるみを持ち歩き、日常の風景と一緒に撮影するぬい活

ぬいぐるみがコレクションから日常の同行物へ変わる。画像出典:広島ホームテレビ

今後12〜18か月、この流れは主に三つの形で表れる可能性がある。

一つ目は、イベント用と日常用を一つの商品で切り替える構造である。展示面を裏返す、カバーで隠す、カードケースの中紙を交換する、イベント用の飾りだけを外すといった方法なら、推しを常に大きく見せる必要も、日常では完全に隠す必要もない。

二つ目は、キャラクター部分と共通部品を分ける考え方である。絵柄は短い周期で更新されても、ポーチ本体、金具、保護シート、台紙、ディスプレイベースは繰り返し使える。全体を買い替えるのではなく、キャラクターや使用場面に関係する部分だけを交換できれば、シリーズ展開にもつながりやすい。

三つ目は、サンプル確認の基準が「正面からきれいに見えるか」だけでは足りなくなることである。実際のカードや缶バッジ、ぬいぐるみを入れ、一般的なバッグに取り付け、開閉や持ち運びを繰り返して確認する必要がある。平置きの写真では分からない重心、反射、擦れ、厚み、寸法差は、実際に使ったときに初めて見える。

保護と展示を一体化した専用収納

保護用品が、収納と展示を兼ねる商品へ発展している。画像出典:Sukkiri Store

この見方を支える信号は三つある。推し活に参加する人が増え、年齢、予算、生活場面が広がっていること。一人で推し活を行う人が多く、グッズを自分で持ち歩く機会が増えていること。そして、めじるしアクセサリー、カードケース、ぬいポーチ、透明収納、痛バッグ用パーツ、DIY部材が、複数の売り場で繰り返し現れていることである。

業界側が早く捉えたいのは、話題になったキャラクター名だけではない。同じバッグの形や接続方法が複数のIPで使われているか。キャラクターグッズを購入した後に、保護、収納、展示用品が続いて検索されているか。絵柄が変わっても、サイズ、金具、ポーチの構造が次の商品に残っているか。三つが重なれば、単発の人気ではなく、使い方そのものが変化している可能性が高い。

本レポートの後半は、すべてこの一本の問いにつながる。イベント会場を離れた後も、その商品はユーザーの生活に残るのか。市場データはその問いが生まれた背景を示し、商品と流通の動きは需要の変化を示す。生産に関する考察は、その発想を実物にしたとき、どの寸法、材料、動作確認が成否を分けるかを整理する。

1 市場拡大がもたらすもの:需要の分化

参加者が増えるほど、使い方は一つではなくなる

推し活市場の拡大は、複数の調査から確認できる。推し活総研が2026年1月に公表した調査では、15〜69歳の推し活人口は約1,940万人、市場規模は約4.1兆円と推計されている1。Cross Marketingが2026年6月に全国の18〜79歳男女3,000人を対象に行った調査では、48%が現在推し活をしていると回答した。18〜29歳は64%、30代は60%だった2

調査ごとに「推し活」の定義や市場規模の算出範囲は異なるため、数字を単純に足すことはできない。ただし、参加者が若年女性だけに限られず、より幅広い年代へ広がっている方向は共通している。

Cross Marketingの年次比較では、推し活をしている人の割合が、18〜29歳で55%から64%、30代で47%から60%、40代で35%から50%、50代で34%から43%、60代で23%から41%、70代で23%から36%へ上昇した23。若年層が引き続き活発である一方、中高年層の伸びも小さくない。

好きな対象も広がっている。漫画・アニメ・ゲーム、歌手・ミュージシャン、スポーツ選手・チームが上位に入り、男女でも対象の構成が異なる2。音楽、スポーツ、俳優、アニメ、ゲーム、VTuber、クリエイターでは、好まれる色、素材、見せ方、持ち歩き方が同じとは限らない。「若い女性がかわいいキャラクターグッズを買う市場」という説明だけでは、実態を捉えにくくなっている。

平均額より、支出の幅を見る

推し活総研の調査では、年間支出の平均は約20.97万円である一方、中央値は約4万円だった。支出額上位25%の平均は約69.9万円、それ以外の75%は約2.57万円である1。平均が中央値を大きく上回るため、時々小物を買う層と、限定品や遠征まで含めて大きく支出する層が同じ市場に存在していることが分かる。

したがって、低価格の小物、日用品、セット商品、高価格の記念品は、どれか一つに収束するのではなく並存しやすい。新しく推し活を始めた人は、色の分かりやすいチャーム、ステッカー、カードケースなど、用途と価格が理解しやすいものから入りやすい。経験の長い人は、限定仕様、シークレット、素材差、コンプリートセットの価値を細かく見分ける。

平均支出が下がったとしても、市場全体の弱まりとは限らない。参加者が増えれば、最初は低額の商品だけを買う人も増える。明治安田総合研究所が全国家計構造調査をもとに行った試算では、2019年から2024年に推し活関連支出は15.1%増え、30歳未満と30代では30%を超える伸びとなった。同期間の関連CPI上昇率は7.8%だった10。推し活関連消費に一定の粘り強さがあることは示されるが、すべての商品が価格に左右されないという意味ではない。

推し活グッズを日常のバッグに取り入れる例

展示面を隠せるバッグは、イベントと日常の切り替えを助ける。画像出典:JRE MALL

一人で行う推し活が、グッズを日常へ連れ出す

市場の拡大と日常化を結びつけるのは、推し活の行い方である。Booklistaの2026年調査では、59.2%が「基本的に一人で推し活をする」と答えた。理由として、自分のペースで動けること、他人に気を遣わなくてよいことが挙げられている9

映画を見る、グッズを買う、イベントへ行く、現地を訪ねるといった行動を、一人で完結する人は少なくない。Cross Marketingの調査でも、推し活による変化として、ストレスの軽減、日常の楽しみ、ひとり時間の充実が挙げられた。60〜70代では、外出や旅行のきっかけになったという回答も比較的多い2

この変化により、推し活グッズは大型イベントだけを想定できなくなった。通勤バッグ、旅行かばん、カフェのテーブル、スマートフォン、傘、自宅の収納にも使われる。イベント会場では強く分かりやすい表現が求められる一方、日常では色や小さな記号だけで推しを示す方法も選ばれる。

大きな痛バッグと控えめなカードケースは、異なるユーザー向けの商品とは限らない。同じ人が、イベント当日は大きく見せ、仕事の日はメンバーカラーの小物だけを使うこともある。商品企画では「目立つ人」「目立たない人」と固定的に分けるより、同じユーザーが場面ごとに表現の強さを変えると考えた方が実態に近い。

表現の強さを切り替えられる商品へ

次の差別化は、同じ「好き」を場面に合わせて調整できるかどうかに表れそうだ。展示面を裏返せる、カバーで隠せる、カードケースの中紙を交換できる、イベント用の飾りだけを取り外せるといった構造である。

ただし、選択肢を増やせば必ず使いやすくなるわけではない。裏返す構造が厚すぎないか、取り外した部品を紛失しないか、カバーが印刷面を擦らないか、交換用の中紙が波打たないかを確認する必要がある。複数の細かな部品を扱わせるより、一度裏返す、一枚差し替えるといった少ない動作で切り替えられる方が、日常では使いやすい可能性が高い。

2 品目名より長く残る「購入後の使用動線」

買った後に、需要は枝分かれする

推し活グッズを理解するとき、品目名を増やすより、購入後の行動を追う方が分かりやすい。購入前には、キャラクター、色、サイズを確認する。購入後には、傷を防ぎ、保管場所を決め、外出時に持ち運ぶ。イベントや旅行では、展示、撮影、交換が加わる。商品の役割は、この行動のつながりの中で生まれる。

Booklistaの購買調査では、アクセサリーの購入経験が58.7%、文具が49.2%、衣類が47.3%、食品が33.3%だった4。アクセサリーが上位にある理由の一つは、持ち歩きやすく、表現の負担が小さいことにある。全身の服装を変えなくても、小さなチャーム、色、記号だけで推しとのつながりを持てる。

「めじるしアクセサリー」は、その日常化を分かりやすく示している。傘、ペットボトル、鍵、旅行用品、充電ケーブルなど、自分の持ち物を見分けるための小さなチャームである。2026年8〜9月には、複数のキャラクターやオリジナル企画で300円前後の商品が集中して登場し、バンダイも推し活との相性を訴求している11

商品は小さいが、実際には接触頻度が高い。金具が外れないか、取り付け部分の太さに合うか、チェーンが長すぎないか、透明パーツが擦れないか、吊り下げたときに絵柄が正面を向くかが使い心地を左右する。商品写真の中では小さく見える部分ほど、日常使用では重要になることがある。

持ち運ぶ・守る・見せる・撮る

「ぬい活」とは、キャラクターのぬいぐるみを持って出かける、服を着せ替える、風景や食事と一緒に撮影する、旅行に連れて行くといった活動を指す。ぬいぐるみ本体だけでなく、ぬい服、帽子、透明ポーチ、撮影背景、収納用品まで需要が広がる。

SHIBUYA109 lab.が15〜24歳女性を対象に行った調査では、8割を超える人がぬい活を経験していた。59.4%がぬいぐるみをバッグに付け、39.4%が日常的に持ち歩き、37.9%が物や風景と一緒に撮影している。70.3%は、ぬいぐるみにお守りのような存在感を感じると答えた5。日本玩具協会によると、2025年度のぬいぐるみ市場は約624億円で、前年比138.2%だった6

透明ポーチに入れて持ち歩くぬい活用品

保護、携帯、展示を一つの構造にまとめた透明ポーチ。画像出典:MAGASEEK

透明ポーチは、ぬいぐるみを見せるためだけの商品ではない。雨、汚れ、圧迫から守り、バッグへ取り付け、必要なときには取り出して撮影する。したがって、透明度だけでなく、片手で開閉できるか、金具の位置でぬいぐるみが傾かないか、縫い代が顔に重ならないか、収納後に形が潰れないかを見る必要がある。

カードケース、缶バッジカバー、痛バッグにも同じ考え方が当てはまる。保護を強くすれば厚みと重量が増え、展示面を大きくすれば日常では目立ちすぎることがある。どの機能も最大にするのではなく、想定する場面に合わせて優先順位を決めることが重要になる。

キャラクター部分は変わり、基礎構造は残る

キャラクターの絵柄は短い周期で変わるが、カード、缶バッジ、アクリル、ぬいぐるみの代表的な寸法は比較的長く残る。そこで、キャラクターを表す部分と、持ち歩きや保護を担う基礎部分を分けて考える余地が生まれる。

例えば、バッグ本体と交換できるディスプレイシート、カードケースと差し替え用の中紙、ぬいポーチと着せ替え用アクセサリー、缶バッジカバーと装飾フレームである。全体を細かな部品へ分解する必要はない。商品単体で使える状態を保ちながら、一部を交換できる程度の設計が現実的である。

ここでいうモジュール化は、部品数を増やすことではない。購入後の行動をつなぐことを意味する。カードを買った後に保護ケースが必要になり、外へ持ち出すときにストラップが必要になり、イベントでは展示用の台紙や痛バッグが必要になる。別々の商品であっても、同じコレクションを購入から使用まで支えている。

交換部分が多すぎると、紛失、誤組立、在庫管理、説明の複雑さが増える。基礎構造を共通化する価値があるのは、共通化した後も、収納できる、安定して取り付けられる、絵柄が見える、キャラクターごとの差が残る場合に限られる。

ランダム商品と「選べる」商品の併存

カプセルトイ市場は2025年度に約1,960億円と推計され、引き続き大きな市場となっている7。抽選性や交換の楽しさは、推し活の一部として残る。一方、Hamaru Strategyの2026年調査では、ランダム商品を割高に感じる人が94.8%、購入後に後悔した経験がある人が63.3%だった8

この結果から、ランダム商品がすぐになくなるとは言えない。むしろ、ランダム、絵柄指定、コンプリートセット、受注販売が目的に応じて併存する可能性が高い。交換しやすい番号表示、統一寸法、重複しても使える構造は、ランダム商品に対する負担を少し下げる。どの販売方式を選ぶかはブランドやIPの判断であり、本レポートは特定方式を推奨するものではない。

3 開発基準は「正面の見栄え」から「実際の動作」へ

平置きで美しくても、使いやすいとは限らない

商品ページの平置き写真で整って見えることと、バッグへ付けたときに使いやすいことは同じではない。めじるしアクセサリーは、通勤バッグ、透明痛バッグ、ペットボトル、傘で試す必要がある。ぬいポーチは、片手での開閉、撮影と収納の切り替え、雨、圧迫、汚れへの対応を見る。カードケースは、取り出しやすさ、縁の摩耗、保護スリーブを付けた状態での寸法を確認する。

こうした確認は量産後の改善項目ではなく、試作段階で行う方がよい。数ミリの寸法差、金具の向き、透明素材の反射、縫い代の位置は、完成後には直しにくい。使用場面を早く再現するほど、図面だけでは見えない問題を小さなうちに発見できる。

痛バッグを日常で使うときの展示面と荷物部分

見せる面と日用品を入れる部分を分ける構造。画像出典:JRE MALL

寸法は「入るか」だけでなく、動いた後を見る

カードケースの場合、カード単体が入れば十分とは限らない。保護スリーブを付ける人も多く、出し入れのための余裕も必要になる。余裕が少なければ収納できず、多すぎれば中でずれて見栄えが崩れる。吊り下げたときにカードが片側へ寄るかどうかも確認したい。

缶バッジでは、直径だけでなく厚み、背面ピン、保護カバーの有無が関係する。痛バッグの内板は、缶バッジを配置した状態で重くなり、持ち歩くと位置がずれることがある。静止したサンプルだけでなく、実際にバッグへ入れて歩いた後の状態を見る必要がある。

ぬいぐるみはIPごとの寸法差が大きい。身長だけでなく、頭部、耳、帽子、衣装、足の形が収納に影響する。「10cm用」と書くだけでは十分でない場合がある。開口部の実寸、内寸、マチ、金具の耐荷重を示し、代表的な形状で確認する方が誤解を減らせる。

材料と構造は、使う動作に合わせて決める

透明PVCを厚くすると保護力は上がるが、重量が増え、低温時に硬くなりやすい。薄くすると軽くなる一方、形が崩れやすい。アクリルを厚くすると立体感と強度が出るが、複数個をバッグへ付けたときの重さが増す。縫製品は柔らかく持ち歩きやすいが、透明窓との接合部やファスナー周辺に負荷が集中する。

素材の良し悪しを単独で決めるのではなく、どの動作に耐える必要があるかから選ぶ方がよい。毎日開閉するのか、イベントのときだけ使うのか、屋外へ持ち出すのか、卓上で飾るのかによって、必要な厚み、金具、縫製、表面処理は変わる。

推し色を複数素材で揃える場合も、画面上の色指定だけでは判断しにくい。同じPantone番号でも、PVC、布、アクリル、塗装金属では見え方が変わる。透明度、下地、光沢、表面の凹凸も色に影響する。シリーズ全体で完全に同じ色を求めるより、並べたときに同じ色群として見える範囲を、現物で共有する方が実務的である。

実使用写真は、販売素材である前に開発資料になる

今後、実使用写真は商品ページ用の素材だけでなく、開発中の判断資料として重要になると考えられる。構造サンプルへ実際のカード、缶バッジ、ぬいぐるみを入れ、一般的なバッグへ取り付けた状態を早い段階で撮影する。

写真によって、吊り下げたときの向き、透明面の反射、ファスナーの引っ掛かり、バッグ本体の潰れ、寸法の取り違えを共有できる。海外との開発では、定規、荷重物、正面・側面・背面を含む一組の写真がある方が、「少し調整する」という言葉だけより判断を揃えやすい。

確認用写真は、白背景の単品写真、実物を入れた写真、手やバッグと一緒に写したサイズ比較の三種類があるとよい。これらは後の商品説明にも利用でき、撮影し直す負担を減らす。ただし、写真を増やすこと自体が目的ではない。各写真が、寸法、構造、使用方法のどれを確認するためのものかを決めておく必要がある。

4 単一チャネルの話題性より、複数売り場での反復を見る

売り場ごとに、商品の価値の伝わり方が違う

同じ商品でも、カプセルトイ売り場、バラエティショップ、EC、専門店、ポップアップでは理解され方が異なる。カプセルトイは、小さな価格単位、収集、偶然性が入口になる。バラエティショップでは、用途と色が一目で分かることが重要になる。ECでは、サイズ、対応範囲、側面、部品構成、使用方法まで確認される。

したがって、ある商品が一つの売り場で目立っただけでは、長期的な需要とは判断しにくい。異なるIPで同じ構造が使われ、別のチャネルでも用途商品として扱われ、無IPの一般商品にも似た仕様が現れたとき、その構造が生活者の行動に結び付いている可能性が高まる。

めじるしアクセサリー、カードケース、ぬいポーチ、透明収納は、この点で観察しやすい。キャラクター商品として登場するだけでなく、「持ち歩く」「見分ける」「守る」「収納する」という用途でも説明できるためである。

店頭は、サイズと動作を短時間で伝える

店頭では、説明を長く読まなくても用途が分かる必要がある。商品を何に付けるのか、どのサイズが入るのか、どこが開くのか、交換できる部分はどこかを、実物と簡潔な図で伝える方が理解されやすい。

普通の雑貨売り場で推し活用品が増えると、商品はIP名だけでなく、携帯、保護、展示、撮影、収納といった用途で整理される可能性がある。これはキャラクターの重要性が下がるという意味ではない。キャラクターを持っていない段階でも、商品構造の用途を理解できるようになるということである。

一般雑貨売り場で展開される推し活用品

キャラクター別ではなく、携帯・収納・展示という用途で商品を理解できる売り場。

ECでは、寸法と組み合わせを補足する

オンラインでは、正面画像だけでなく、側面の厚み、開口部、対応サイズ、部品の関係を示す必要がある。写真上では同じ大きさに見える商品でも、実寸、重量、金具の長さが違えば使用感は変わる。

白背景画像、実物を入れた画像、手やバッグと一緒に写した画像をサンプル確認時に残しておけば、商品ページの説明にも利用できる。制作段階で正面画像一枚しか残っていないと、後から構造を説明する写真が不足しやすい。

公開ランキングや検索結果は、あくまで観察時点の売り場を示す。掲載順位が販売数量そのものとは限らず、二次流通の出品価格も成約価格ではない。SNSの累計投稿数も、日本国内の当期販売量を直接示す数字ではない。本レポートでは、複数チャネルで同じ行動や構造が繰り返し現れる場合に、判断の確度を上げている。

5 シリーズ開発の難しさは、単品の加工だけではない

先に用途を確認し、構造と材料を決める

商品企画が絵柄から始まることは多い。しかし、量産仕様へ進めるには、誰が、どこで、何を入れ、どのように持ち歩くかを先に整理する必要がある。同じ透明ポーチでも、ぬいぐるみ用、カード用、缶バッジ用では、開口部、マチ、金具、縫製位置が変わる。

参考画像だけをそのまま再現すると、写真では見えなかった厚み、背面、接続方法が後から問題になることがある。初期段階で、用途、収納物の実寸、希望数量、価格帯、納期を共有すれば、材料と構造の選択肢を現実的な範囲に絞りやすい。

サンプルと仕様書で、同じ状態を確認する

サンプルは見た目を確認するだけのものではない。寸法、材料、色、印刷位置、金具、縫製、開閉方法、包装を一つの状態として確認するための基準になる。その結果を仕様書、色見本、写真へ反映し、関係者が同じ版を参照できるようにする。

多キャラクター展開では、一点ずつの出来が良くても、全柄が同じ日に揃わなければ販売計画へ影響する。共通部材の確定が遅れると、すべての柄に影響し、個別の絵柄修正が共通工程を止めることもある。単品の加工技術だけでなく、どの仕様を共通化し、どこを柄別に管理するかが重要になる。

シリーズ商品で共通化される構造と色展開

基礎構造を共通化し、色や局部意匠でシリーズを展開する例。

共通化は、使いやすさを失わない範囲で行う

共通の袋型、金具、台紙、包装寸法を使えば、サンプルと量産を管理しやすくなる。一方、キャラクターごとの形やぬいぐるみ寸法が大きく違う場合、無理な共通化は収納性や見え方を損なう。

共通化できるかどうかではなく、共通化した後も「入る」「安定する」「見える」「キャラクターの特徴が残る」かどうかで判断する必要がある。外観だけ共通で、実際には入らない商品では意味がない。

量産は、確認した状態を繰り返す工程である

量産管理の中心は、試作で確認した状態を多数個でも再現することにある。色差、印刷位置、縫い代、金具の向き、透明面の傷、開閉の固さ、包装の順序を工程ごとに確認する。

複合素材の商品では、各部品の公差が重なる。アクリル単体、PVC単体、縫製単体では問題がなくても、組み合わせると穴位置や厚みが合わないことがある。最終組立だけで調整するのではなく、部品段階の確認基準を持つ方が安定しやすい。

生産情報は、商品が売れることを証明するものではない。市場の方向を実物へ落とすときに、どこで難易度が上がるかを説明するためにある。商品性の判断はブランドや売り場が持ち、生産側は、寸法、材料、工程、納期に関する現実的な条件を共有する役割を担う。

6 今後12〜18か月:確度の高い方向と、まだ検証が必要な仮説

基礎構造は、キャラクターの外側で広がる

今後一年で注目したいのは、まったく新しい一品目が市場を支配することより、既存のカードケース、ぬいポーチ、チャーム、痛バッグ、収納用品が、より持ち歩きやすく、交換しやすくなることである。

めじるしアクセサリー、カードケース、保護カバー、ぬいポーチ、スマートフォンストラップ、小型の透明収納は、通勤や旅行へ取り入れやすい。大型痛バッグ、コンプリートコレクション、イベント応援用品、限定ボックスは、集中して見せる場面に残る。その間をつなぐのが、取り外せる内板、交換用中紙、メンバーカラーのパーツ、交換用チェーン、着せ替え小物である。

キャラクターの絵柄を見せなくても、推し色はつながりを残せる。白、透明、シルバーを基礎にし、メンバーカラーや小さな記号で識別する構成は、日常へ取り入れやすい。重要なのは、特定の色が必ず売れるという予測ではなく、布、PVC、アクリル、金属を並べたときに同じ色群として成立するかである。

ぬい活は、本体の外側へ需要を広げる

ぬいぐるみ関連は、利用調査、玩具市場、チャネルの新商品という複数の資料で確認できる。生活者はぬいぐるみを集めるだけでなく、持ち歩き、撮影し、服を着せ替えている。今後は本体に加えて、持ち歩き用ポーチ、服、撮影背景、サイズ対応、手入れ用品を引き続き観察する価値がある。

難しさはサイズ差である。同じ「10cmぬい」でも、頭部、耳、髪、帽子、衣装で必要な空間が変わる。対象サイズを広げすぎると、どのぬいぐるみにも中途半端になる可能性がある。共通サイズを目指す場合も、対応できない形状を明記し、開口部と内寸を実測で示す必要がある。

保護と収納は、目立たなくても長く残る

コレクションが増えれば、カード、缶バッジ、アクリル、ぬいぐるみを整理する必要が生まれる。保護用品と収納用品はニュースになりにくいが、キャラクターの人気周期を越えて使われやすい。

一般的な寸法に対応すること、同じ部品を追加購入できること、保管と持ち歩きの両方に使えることが、継続性を左右する。保護フィルム、チェーン、透明内袋、接続部品など、傷みやすい部分を単独で交換できる商品は、まだ十分な市場データがあるとは言えないが、実使用とアフターケアの面では合理性がある。

「完成品+少しの選択」が広がる可能性

DIYや名入れは続くと考えられる。ただし、すべてを一から作る形式より、完成した商品に名前、色、写真、中紙、小さなパーツを加える形式の方が、購入後すぐ使いやすい。

平成レトロ、白系キャラクター、推し色、名入れ、ハンドメイド部材は、見た目としては一つの流行ではない。共通するのは、商品側が使える基礎を用意し、生活者が最後の一部分を選ぶことである。選択肢を増やしすぎると、注文、在庫、組立、説明が複雑になるため、交換箇所を一つか二つに絞る方が成立しやすい。

カードケースを自分の色やパーツで仕上げる例

完成品を基礎に、局部的な装飾を加える商品。画像出典:Creema

人口構成の変化は、まだ商品単位で検証が必要

中高年層の参加拡大は、控えめで耐久性があり、保管しやすい表現を増やす可能性がある。ただし、参加率が上昇したことから、特定の素材や価格帯が中高年向けだと直接結論付けることはできない。旅行、スポーツ、音楽、記念消費の中で、どのような商品が増えるかを継続して見る必要がある。

男性の推し活人口増加も同様である。スポーツ、ゲーム、音楽、VTuber関連では、色、素材、公開時の見せ方が従来のかわいいキャラクターグッズと異なる可能性がある。しかし、商品別の公開ランキングには性別の内訳が少なく、現時点で独立した「男性向け推し活品目」を断定できる材料は十分でない。

低年齢層では、低価格、理解しやすさ、自分で手を加えられることが入口になる一方、小部品の安全性、操作の難しさ、保護者が用途を判断しやすい説明が必要になる。成人向け商品を小さくすれば子ども向けになるわけではない。

トレンドが残るかは、IPを越えて構造が使われるかで見る

キャラクターの人気は、商品を初めて見てもらう力を持つ。一方、同じ袋型、金具、収納方法が複数のIPで繰り返され、無IPの商品にも残るなら、その構造自体に需要がある可能性が高い。

限定店やポップアップは短期間に注目を集める。一般雑貨店とEC検索は、より長い期間の需要を受け止める。短期イベントだけで終わる商品はテーマ依存の可能性があり、その後も収納、保護、日用品の売り場に残れば、日常用途へ定着しつつあると考えられる。

以上を踏まえると、未来一年の専門性は、派手な新機能より「簡単に見える商品で、細部が整っていること」に現れそうだ。カードケースの一ミリは、保護スリーブ付きカードが入るか、中で動くかを変える。透明ポーチの厚みは保護力を上げる一方、外観と重量を変える。金具が美しくても、一般的な取り付け部分に合わなければ使えない。トレンドは最終的に、こうした寸法、材料、動作の判断へ落ちていく。

結び

推し活人口が広がり、一人で行う推し活が増え、グッズは通勤、旅行、ひとりで過ごす時間へ入っている。そこから、持ち歩く、守る、見せる、撮る、自分の選択を加えるという需要が生まれる。

生活者が商品へ目を向ける最初の理由は、これからもキャラクターとビジュアルである。しかし、購入した後も持ち歩くかどうかは、使いやすさによって変わる。推し活が日常へ近づくほど、感情を動かす見た目と、生活の中で使える構造は分けにくくなる。

新商品を見るときは、一つの問いを置くことができる。その商品は、イベント会場を離れた後も使われるだろうか。日常のバッグへ付けられる、手持ちのコレクションを守れる、旅行や撮影に対応できる、推し色や自分の選択を加えられるなら、生活に残る可能性は高まる。最終的な答えは、デザインだけでなく、寸法、重量、材料、説明の明確さに左右される。

調査資料について

予測期間を12〜18か月としたのは、公開調査で確認された行動が商品企画と流通へ反映されるまでに時間差があるためである。調査、複数チャネル、異なる商品形式で既に確認できる信号は継続の可能性が比較的高い。単一媒体や少数の新商品だけに現れる現象は、引き続き検証が必要である。

市場調査は、参加人数、年齢、支出、行動の変化を確認するために用いた。商品ページとチャネルの新商品は、売り場で増えている構造を観察するために用いた。業界資料と生産情報は、材料、構造、量産上の条件を考えるために用いた。三種類の資料は、それぞれ答えられる問いが異なり、相互に代用できない。

公開資料は、各ブランドが持つ販売数、転換率、返品、ユーザーの声を代替するものではない。ランキングは観察時点の結果であり、SNSの投稿数は当期販売量ではない。生産できることも、売れることの証明にはならない。本レポートは複数の信号が同じ方向を示す場合に判断の確度を上げ、具体的なキャラクター、価格、販売方法については各事業者の判断領域としている。

主な参考資料


制作・量産に関するご相談

本レポートは、海外事業/市場開発チームが公開調査と商品事例をもとに企画・編集し、海外事業責任者 Shawn が監修しています。

推し活グッズの企画について、構造と材料の検討、試作、量産、品質管理、包装・出荷までご相談いただけます。ラフ案や参考画像の段階でも、分かる範囲から用途と仕様を整理します。

OSHI-GIANT 公式サイト
海外事業責任者 Shawn:shawn@oshi-gt.com


  1. 推し活総研「第3回 推し活実態アンケート調査」:原文 

  2. Cross Marketing「推し活など余暇行動に関する実態・意識調査(2026年6月定点ココロスタイルリサーチ)」:原文 

  3. Cross Marketing「推し活など余暇行動に関する実態・意識調査(2025年6月定点)」:原文 

  4. Booklista「推し活ユーザーの購買傾向」:PDF 

  5. SHIBUYA109 lab.「Z世代のぬい活に関する実態調査」:原文 

  6. 日本玩具協会「2025年度 国内玩具市場規模」:PDF 

  7. 日本カプセルトイ協会「令和7年度(2025年)カプセルトイ市場動向調査」:原文 

  8. Hamaru Strategy「ランダムグッズに関する消費者意識調査 2026」:原文 

  9. Booklista「広がる『おひとり様推し活』」:原文 

  10. 明治安田総合研究所「推し活消費は物価高でも削られにくい」:原文 

  11. バンダイ ガシャポン公式資料「めじるしアクセサリー」:原文 

海外事業責任者 Shawn (Zhu)

REPORT SUPERVISION

監修者について

海外事業責任者 Shawn (Zhu)

日本市場向けの商品開発とOEM/ODM案件に携わりながら、公開調査、売場、展示会、商品構造の変化を継続的に観察しています。本レポートでは、市場の話題を並べるだけでなく、商品として実現する際に何が変わるのかという視点から内容を監修しました。

shawn@oshi-gt.com
構造確認
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サンプル制作
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品質検査
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量産管理
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企画・調査:海外事業/市場開発チーム 監修:海外事業責任者 Shawn

公式サイト  oshi-gt.com